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数千万円規模のビジネスインパクトを創出。freeeがBrazeで実現する『BtoC発想をBtoB SaaSで実践』定常的な収益基盤へ転換。

個人事業主ユーザーの急増に伴い、従来のMAツールでは個人事業主向けのリアルタイム配信やパーソナライズされたコミュニケーションへの対応が限界に達していました。また、SalesforceをCRMとして活用するシステム構成において、マーケティングオートメーション側のパフォーマンス低下が顕在化し、個人事業主・法人の双方に向けたマーケティング活動に支障が生じていました。大量配信とリアルタイム連携が必要な個人事業主向けMAとCRM基盤の抜本的な刷新が急務となっていました。
SalesforceとBrazeをETL連携したデータ基盤を構築。マーケティングオペレーションチームを中心に各事業部が連携する組織横断体制で社内10部門・約50名にBraze活用を展開。個人事業主ユーザー向けに、プランページ閲覧後の未課金者へのトリガーメール、Salesforceと連携させた、BrazeからのリアルタイムWebメッセージによる解約防止、A/Bテストを活用した高速PDCAなどクロスチャネルのパーソナライズ施策を推進しています。
個人事業主ユーザー向けカゴ落ちトリガーメールで数千万円規模のビジネスインパクトを創出し、定常的な収益創出に貢献。Salesforceと連携させたBrazeからのリアルタイムWebメッセージによる解約防止施策では数十件規模の商談化・受注を創出。データ基盤の整備と部門横断の連携により、SaaS企業における全社横断MA/CRM活用の先進的な体制を構築しています。
INDUSTRY
PRODUCTS USED
指標による成果
77%
個人事業主向けカゴ落ちトリガーメール開封率
7%
トリガーメール開封後の課金CVR
御社の事業の強みと、昨今の市場環境についてお聞かせください。
フリー株式会社は「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、freee会計・freee人事労務をはじめとした統合型経営プラットフォームを個人事業主から中小企業に向けて提供しています。freee会計はサービス開始から10年以上が経過し、多くの個人事業主の方に支持されてきました。一方で近年は、スマートフォン完結の確定申告アプリやAIを活用した申告サービスなど新しい形態のプレイヤーが続々と登場しており、「クラウド会計ソフトの先駆け」として切り拓いてきた市場も今では当たり前となっています。真新しさだけでは差別化しにくい時代に突入したと感じています。
そうした変化の中で弊社が大切にしているのは、10年以上かけて積み重ねてきたブランドへの信頼と、初めて会計ソフトを使う個人事業主の方でも直感的に使える体験価値です。プロダクトとCRMはほぼ一体のものと捉えており、両者が連携して個人事業主ユーザーにとっての本質的な価値を創出していくことが、次に目指す姿だと思っています(三船氏)。

スモールビジネスプロダクト本部 個人プロダクト部 freee会計 プロダクトマネージャー 三船 大制氏
Brazeの活用に関わる社内の体制を教えてください。
全社のマーケティング基盤を統括する「マーケティングオペレーションチーム」を中心に、個人事業主事業部・法人事業部などの各事業部が連携する組織横断体制でBrazeを活用しています。私たちマーケティングオペレーションチームは単なるツール管理者ではなく、DWHとBrazeやSalesforceとBrazeのリアルタイム連携をはじめとしたデータパイプラインの設計・実装、個人事業主・法人双方のユーザーへの過剰なメッセージ配信を防ぐ全社的なフリークエンシーコントロール、ある事業部で生まれた成功事例を他部署へ横展開するナレッジ共有など、社内各チームがBrazeのポテンシャルを最大限に引き出せるようにするイネーブラーとして機能しています(萬田氏)。

ビジネス基盤本部 IT企画推進部 MOps基盤チーム 萬田氏
各事業部のCRMチームは、その強固な社内基盤の上で「担当する個人事業主・法人ユーザーに、最適なタイミングで本質的な価値を届けるにはどうすべきか」というシナリオ設計と施策の実行に専念できています。現在は社内10部門・約50名がBrazeを活用する体制に成長しました(安藤氏)。
Braze導入以前の課題と、選定の決め手をお聞かせください。
以前利用していたMAツールはもともとBtoB領域に強みがあり、年々急増する個人事業主ユーザーへのリアルタイム配信や、きめ細かなパーソナライズへの対応が難しくなっていました。また弊社ではSalesforceをCRMとして活用していますが、旧MAツールとの連携においてユーザーレコード数の増加とともにシステム全体のパフォーマンスが低下し、個人事業主向けだけでなく法人向けのマーケティング活動にまで悪影響が及ぶ状態になっていました。
比較検討の結果、Brazeの選定理由は主に3点です。増加する個人事業主ユーザーを前提とした対応パフォーマンス、機能追加の速度と内容から感じられる将来性、そして多数のチャネルを横断できる設計です。加えて、弊社プロダクトに直接組み込んでよりパーソナライズされたユーザーコミュニケーションを構築できる点も高く評価しました。セールス非介在でアカウント作成、無料プランから有料プランへの移行を促すというBtoCに近い個人事業主向けビジネスモデルとの親和性の高さが、最終的な決め手となりました(萬田氏)。
社内での活用をどのように広げていきましたか。
「社内への啓蒙活動」と「社内業務プロセスの構築」という2つの側面からアプローチしました。啓蒙面では、社内各部署との定期MTGを通じ、ツールの操作方法を教えるのではなく「Brazeを使えば担当ユーザーにどのような本質的な価値を届けられるか」を起点に勉強会を地道に重ねました。個人事業主ユーザー向けの成功事例を社内で継続的に共有したことで、「自分たちの施策にもBrazeを活用したい」というアイデアが各事業部から自発的に上がるようになっていきました。
もう一つの転換点は、個人事業主事業部のメールなどの配信オペレーションをCRMチームへ集約したことです。セールス・CSなど他部署のメンバーは「こういう状態の個人事業主ユーザーにアプローチしたい」という要件をCRMチームへ持ち込むだけでよくなり、CRMチームがセグメント設計から配信まで一貫して伴走する形が社内に定着しました。この両輪を回したことで、トップダウンの指示がなくても社内10部門・約50名が自律的に連携し、日々新しい施策が生まれる土壌ができあがりました(安藤氏)。

個人スモール横断/横断マーケティング/Demand Generation/Lead Nurturing 安藤 真帆氏
Brazeによる具体的な施策例と、その成果についてお聞かせください。
個人事業主ユーザー向けで最も社内の反響が大きかった施策のひとつが、お支払い確定ボタンを押下したにもかかわらず課金に至らなかったユーザーへのフォローアップです。BtoBマーケティングの組織風土の中、Brazeのリアルタイムトリガーメール活用により、BtoCに近しい『カゴ落ち』発想をSaaSの定常的な収益基盤に転換しました。企画立案にあたっては当時のアナリストがデータから示唆を出し、CRM担当のマーケターが推進しました。
Brazeでトリガーメールを配信したところ、通常のメルマガであれは大体開封率は30-40%のところ、個人事業主ユーザーの開封率は77%を記録しました。この施策によって個人事業主向けに定常的な課金が継続的に生まれており、月次で安定した獲得に貢献しています。手応えを確認した後はプランページ訪問などのトリガーにも拡大し、同様の考え方を法人ユーザー向けへも横展開するムーブメントが社内で自然と起きました(三船氏)。


高速PDCAの観点でも印象的な結果が出ています。個人事業主ユーザー向けの3日間限定キャンペーンメールでA/Bテストを実施した際、メール内のプラン選択ボタンの色パターンを比較したところ、真ん中のプランだけ異なる色にしたバージョンが明確に優位でした。Brazeでは検証結果を素早く可視化し、知見を即座に次の施策へ活かすことができます。個人事業主ユーザーへの施策でPDCAサイクルを高速で回せる点は、Brazeの大きな強みだと感じています(安藤氏)。
もう一つ印象的だったのが、確定申告シーズンに解約リスクが高まる個人事業主ユーザーへのリアルタイム対応です。個人事業主の方にとって確定申告期は最もシステムを活用する重要な時期ですが、同時に操作へのつまずきや事業フェーズの変化により解約を検討するタイミングでもあります。
そこで、解約ページへのアクセスなど特定の行動を起こした個人事業主ユーザーにBrazeのWebメッセージでアンケートを提示し、「サポートが必要」という回答があればそのデータをSalesforceへリアルタイム連携させる仕組みを構築しました。Salesforce上に即座にタスクが生成されるため、社内のセールス・CSチームがユーザーの「困っている熱量」が冷めないうちにフォローコールを行える体制が整いました。この施策により数十件規模の商談化・受注(2025年度8月末~1カ月間)という成果を創出し、解約防止にとどまらず個人事業主ユーザーの課題に寄り添ったアップセルの機会としても機能しています(安藤氏)。
今後、Brazeをどのように活用していきたいとお考えですか。
freee会計の個人事業主ユーザーに向けて、プロダクト内のリアルタイムアクティビティデータをBrazeで活用できる環境をさらに広げていきたいと考えています。たとえば、課金後一定期間が経過しても最初の取引登録をしていない個人事業主ユーザーへのタイムリーなサポートの実現が目標の一つです。取引登録が定着すれば確定申告の大部分はほぼ完了するため、初年度の体験品質が翌年の継続率に直結します。使い始めの個人事業主ユーザーに、プロダクトを操作している最中にリアルタイムでサポートを差し出せる体制を作っていきたいです(三船氏)。
社内基盤の観点では、データパイプラインをさらに拡充し、機械学習を活用したユーザーセグメンテーションや解約・購買・行動予測モデルの構築を推進していきたいと考えています。BrazeのデータをBIや他のマーケティングツールと社内で相互活用できる環境を整えることで、個人事業主・法人を問わず全社横断で高度なパーソナライズを展開できる基盤を作っていきます(萬田氏)。
ジャーニーオーケストレーションの思想のもと、個人事業主ユーザーに「ツールを使わされている」のではなく「freeeという頼れるパートナーと事業を一緒に前に進めている」と感じてもらえる体験設計を深めていきたいと考えています。ユーザーデータをもとに導線を抜本的に引き直し、適切なチャネルでパーソナライズされたコミュニケーションを届け、最終的にはプロダクト内のクリエイティブな体験へとつなげる——そうしたシステム全体のオーケストレーションの実現が目標です(安藤氏)。
以前は個人事業主ユーザーの解約シグナルが社内の各システムに点在しており、リスクの高いユーザーをセールスチームへ連携するまでにタイムラグが生じ、対応が後手に回ることが課題でした。BrazeとSalesforceを連携させたことでそのタイムラグが極小化され、個人事業主ユーザーが「今まさに困っている瞬間」に社内セールス・CSチームが手を差し伸べられるようになりました。この施策で生まれた商談化・受注の成果は、社内の部門の垣根を越えたコラボレーションによって実現したものです。
安藤 真帆氏
フリー株式会社 個人スモール横断/横断マーケティング/Demand Generation/Lead Nurturing

Key Takeaways
フリー株式会社の成果
フリー株式会社は、マーケティングオペレーションチームをマーケティングオペレーションチーム中心に各事業部が連携する組織横断体制でBrazeを社内10部門・約50名に展開。個人事業主ユーザー向けカゴ落ちトリガーメールで開封率77%・課金CVR7%を達成し、定常的な収益創出に貢献しています。さらにSalesforceと連携させた、BrazeからのリアルタイムWebメッセージによる解約防止施策では商談化・受注という具体的な成果を創出するなど、オンボーディングから解約防止・アップセルまで個人事業主ユーザーのジャーニー全体をBrazeで支える先進的なCRM体制を構築しています。これは、SaaS企業における全社横断CRM活用の先進的なベストプラクティスとして、他の企業にも参考となるモデルケースです。


